ニキビ跡の種類と見分け方|赤み・色素沈着・クレーターの治療
ニキビ跡には、時間とともに薄くなっていくものと、自然には元に戻りにくいものがあります。赤い跡は引いてきたのに、小さなへこみは半年たっても変わらない、ということもあるでしょう。
しかも、ひとつの顔にこの2種類が混ざっていることも多く、鏡で見ただけでは区別しにくいものです。ただ、指で押したり触ったりすると、ある程度の見当はつけられます。
この記事では、ニキビ跡の種類や見分け方を整理し、種類ごとに検討される治療を紹介します。
ニキビ跡が気になるかたへ
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ニキビ跡の種類

日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、ニキビ跡を皮膚のへこみ・盛り上がり・色素沈着からなる症状と定義しています。炎症が治まったあとに一時的に残る赤みは、ニキビ跡とは別の扱いです。
参考:日本皮膚科学会|尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023
ここでは赤みも含めた4種類を、時間とともに薄くなることが多い赤み・色素沈着と、時間がたっても自然には戻りにくいクレーター・しこりの2つに分けて整理します。
| 種類 | 見た目 | 皮膚で起きていること | 時間による変化 |
|---|---|---|---|
| 赤み | 赤色・ピンク色で平ら | 炎症後の血管の変化 | 薄くなることが多い |
| 色素沈着 | 茶色・褐色で平ら | メラニンが増えて残る | 薄くなることが多い |
| クレーター | 小さな穴や広いへこみ | 真皮の組織が傷ついている | 自然には戻りにくい |
| しこり | 硬い盛り上がり | 瘢痕組織の増殖や炎症後の硬結 | 戻りにくい(年単位で平らに近づくものもある) |
赤み
赤いニキビ跡は、炎症が治まったあとに赤みだけが残った状態で、医学的には炎症後紅斑(えんしょうごこうはん)と呼ばれます。炎症によって広がった細い血管の色が透けて見えているもので、触ってもへこみや盛り上がりはありません。赤く腫れて痛みがあるなら、跡ではなく、今まさに起きているニキビの炎症と考えられます。
時間とともに薄くなることが多いものの、赤みが気になるなら美容皮膚科で治療を受けることもできます。
色素沈着
茶色いニキビ跡は炎症後色素沈着(えんしょうごしきそちんちゃく)と呼ばれ、炎症の刺激によって増えたメラニンが皮膚に残ったものです。いわゆるニキビ跡のシミにあたり、皮膚の表面は平らでへこみはありません。
時間の経過とともに薄くなることが多い一方、紫外線の影響で色が濃くなることもあります。
クレーター
クレーターはニキビがあった部分の皮膚がへこんだ跡で、萎縮性瘢痕(いしゅくせいはんこん)と呼ばれます。
強い炎症によって皮膚の深い層にある真皮が傷つき、組織が十分に修復されないことで生じるものです。
赤みや色素沈着とは異なり、時間がたっても自然には元の状態に戻りにくいのが、クレーターのやっかいなところです。へこみの形によっていくつかの型に分けられ、適した治療も異なります。
しこり
ニキビのあとに残るしこりには、主に次の2つがあります。
- 盛り上がった跡
- 皮膚の下に残る硬いしこり
盛り上がった跡は、傷を修復する過程でコラーゲンが過剰に作られ、皮膚が硬く盛り上がったものです。肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)とケロイドがあります。
肥厚性瘢痕は元の傷の範囲にとどまり、数か月から数年かけて平らに近づくことがあります。一方のケロイドは、元の傷の範囲を超えて周りの皮膚まで盛り上がりが広がるものです。慶應義塾大学病院の解説でもこのように区別されていますが、両者の境目は必ずしもはっきりしないとも書かれています。ケロイドは胸や肩などにできやすく、体質も関わるとされています。
参考:慶應義塾大学病院 KOMPAS|傷のひきつれやケロイドの形成外科治療
もう一方の、皮膚の下に残る硬いしこりは、強い炎症を起こしたニキビが治まったあとに、袋状のものや硬くなった組織が皮膚の下に残った状態です。上の盛り上がった跡が傷あと(瘢痕)にあたるのに対して、こちらは学会のガイドラインで瘢痕とは別のものとして扱われています。
どちらのしこりも、自分で潰したり触り続けたりせず、皮膚科で診てもらいましょう。
ニキビ跡の見分け方

ニキビ跡の種類は、色や皮膚の凹凸、指で押したときの変化から、おおよその見当をつけられます。
次の表を参考に、気になる部分を確認してみましょう。
| 確かめ方 | こうなったら | 考えられる種類 |
|---|---|---|
| 指や透明なガラスで軽く押す | 色が一時的に薄くなる | 赤み |
| 指や透明なガラスで軽く押す | 押しても茶色が残る | 色素沈着 |
| 指でそっと触る | 皮膚がへこんでいる | クレーター |
| へこみを指で横に引っ張る | へこみが目立たなくなる | ローリング型(クレーターの型のひとつ) |
| 跡の表面を見る | 硬く盛り上がっている | しこり |
| 盛り上がりのまわりを見る | ニキビのあった場所より広がっている | ケロイドの疑い |
このチェック表はあくまで見分けるための目安であり、確かな判断には医師の診察が必要です。
特に紫っぽい跡は、赤みと色素沈着のどちらに近いのか、見た目だけでは判断しにくいものです。押して色が引くかどうかも参考になりますが、それだけで原因は断定できません。
ニキビ跡のクレーターは3種類

クレーター状のニキビ跡は、形によってアイスピック型・ボックスカー型・ローリング型の3つに分けられます。海外の皮膚科の分類研究などで広く使われている分け方です。
| 型 | 形 | 大きさの目安 | 見え方 |
|---|---|---|---|
| アイスピック型 | 細く深い穴 | 2mm未満 | 針で刺したように見える |
| ボックスカー型 | 縁が切り立ったへこみ | 約1.5〜4mm | 箱のように底が平ら |
| ローリング型 | なだらかなへこみ | 4〜5mm以上 | 波打つような凹凸 |
海外の報告では、3つの型のうちアイスピック型がもっとも多いとされています。ただし、日本人を対象に集計した数字ではありません。
同じ顔に複数の型が混在することもあり、それぞれ適した治療が異なります。
アイスピック型
アイスピック型の穴は、針で刺したように細く、皮膚の奥へ向かって深く伸びています。表面に見える穴が小さくても深い部分まで組織が損傷していることがあり、皮膚の表面を中心に働きかける治療では十分な改善が得られにくいとされています。
ボックスカー型
縁が切り立ち、底が平らな箱のようなへこみがボックスカー型で、ボックス型とも呼ばれます。
浅いものから深いものまであり、海外の総説では、浅いもののほうが表面からの治療に反応しやすいとされています。同じボックスカー型でも、治療の選び方は深さしだいです。
ローリング型
ローリング型では、皮膚の下の組織が引きつれて表面を引っ張り、肌がなだらかに波打つようにへこみます。
指で皮膚を横に引っ張るとへこみが目立たなくなることがあり、横から光が当たると影が濃く見えます。
種類別のニキビ跡治療

新しいニキビが繰り返しできると跡も増え、ニキビ跡が治らない原因にもなります。そのため跡の治療を考えるときは、今できているニキビの治療も欠かせません。日本皮膚科学会では、今あるニキビには塗り薬などを使った皮膚科での保険診療を基本としています。
一方、残った跡の見た目を整える治療は、種類によって合うものが変わります。
| ニキビ跡の種類 | 検討される治療 | 治療が届かない範囲 |
|---|---|---|
| 赤み | IPL光治療 | 皮膚のへこみ |
| 色素沈着 | ケミカルピーリング・ピコトーニング | 皮膚のへこみ |
| クレーター | ダーマペン・ポテンツァ・ピコフラクショナル | 深いへこみや皮下の引きつれには効果が限られることがある |
| しこり | ステロイド注射など | 赤みや色素沈着、へこみには別の対応が必要 |
ニキビ跡の美容目的の治療は多くが自由診療です。どの治療も跡を目立ちにくくすることを目指すもので、診察で皮膚の状態を確認してから選びます。
赤みの治療
赤いニキビ跡の治療には、IPL光治療があります。IPLの光は、赤みのもとになっている血液中のヘモグロビンやメラニンに吸収され、その熱で、広がった細い血管に作用します。
赤みは時間とともに薄くなることもあるので、すぐに治療せず様子を見てもかまいません。
IPL光治療のニキビ跡への効果は赤みや色素沈着が中心で、クレーターのような皮膚のへこみには働きません。
当院の施術ページでは、ダウンタイムはほとんどないとしたうえで、副作用としてやけどやかさぶた、色素沈着などが起こりうると案内しています。
色素沈着の治療
茶色いニキビ跡には、ケミカルピーリングやピコトーニングなどが検討されます。
ケミカルピーリングは古い角層の剥離を促し、メラニンの排出を助ける治療です。当院ではサリチル酸マクロゴールを使用しています。一方、ピコトーニングはメラニンに作用して、色素沈着を目立ちにくくしていきます。
ケミカルピーリングでニキビ跡に働きかけられるのは、ピコトーニングと同じく肌の色の部分で、皮膚のへこみには届きません。治療後には赤みや乾燥などが出ることもあり、紫外線対策も並行して行います。
クレーターの治療
クレーター状のニキビ跡には、ダーマペン・ポテンツァ・ピコフラクショナルなどが検討されます。どれも、皮膚にごく小さな傷や熱を加える治療です。その傷が治っていく過程で、肌の中にコラーゲンが作られる働きを利用します。
いずれも1回では終わらず、月に1回ほどのペースで数か月通うことになるでしょう。ダーマペンのダウンタイムは1週間程度で、赤みや皮むけ、内出血などが出ることがあります。ポテンツァのクレーターへの効果や回数の考え方を含め、ダウンタイムや副作用は施術ごとに違うので、診察で確かめてください。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、ニキビ跡のへこみに推奨できる治療法はまだ確立していないとされています。保険も適用されないため、期待できる改善の程度や必要な回数、期間、ダウンタイムについて十分な説明を受けたうえで判断しましょう。
しこりの治療
盛り上がったニキビ跡には、皮膚科や形成外科でステロイドの局所注射などが行われ、保険が適用される治療もあります。
ただし、肥厚性瘢痕やケロイドと、炎症後に皮膚の下へ残った硬いしこりでは、対処法が異なります。自己判断で美容施術を選ばず、まずは皮膚科や形成外科で相談しましょう。
なお、当院ではしこりに対するステロイド注射などは扱っていません。また、ケロイドがある部位やケロイド体質のかたには、ポテンツァの施術を行えません。
ニキビ跡でよくある質問
跡が残りやすいのはどんなニキビですか?
ニキビが毛穴にできたあと、赤く強く腫れたものや膿をもったもの、硬いしこりのようになったものは、跡が残りやすいとされています。日本皮膚科学会は、自分でニキビを潰すとかえって炎症が悪化することがあると注意を促しています。
ニキビ跡は何科で診てもらえますか?
今あるニキビや硬いしこりは皮膚科、盛り上がった跡は皮膚科や形成外科で相談できます。赤み・色素沈着・クレーターの見た目を整えたいときは、自由診療を行う美容皮膚科が受診先になります。
ニキビ跡の治療に保険は使えますか?
今あるニキビの治療や、盛り上がった跡に対する一部の治療には保険が適用されます。一方、赤みや色素沈着、クレーターの見た目を整える治療は、保険の対象にならないことがほとんどです。保険の効かない治療を受けるときは、期間や費用、効果、副作用の説明を受けるよう日本皮膚科学会もすすめています。当院も自由診療のみです。
クレーターと毛穴の開きはどう違いますか?
毛穴の種類のひとつである開き毛穴は、皮脂の通り道がすり鉢状に広がって見える状態で、クレーターは皮膚の深い層が傷ついてできたへこみです。頬にクレーターが集まっている状態を「クレーター毛穴」と呼ぶこともあります。
今ニキビがあっても跡の治療はできますか?
治療の種類やニキビの炎症の程度によって異なります。ケミカルピーリングのように今あるニキビにも用いられる治療がある一方、炎症が強い部位には施術できない治療もあるため、診察で確認しましょう。
まとめ
この記事では、ニキビ跡の種類と見分け方、種類ごとに検討される治療について解説しました。 ニキビ跡への対処を考えるときは、次の点を押さえておきましょう。
- 赤み・色素沈着は時間とともに薄くなることが多い
- クレーターは自然に戻りにくく、形や深さで治療が異なる
- 硬いしこりや盛り上がりは皮膚科・形成外科で相談する
- 複数の跡が混在しているときは診察で種類を確かめる
ニキビ跡は、種類によって合う治療が違います。まずは跡の種類を見極め、現在のニキビの治療が必要なのか、残った跡への美容医療を検討するのかを整理することから始めましょう。
大阪・梅田でニキビ跡治療を検討しているかたは、梅田すずらんクリニックにご相談ください。赤み・色素沈着・クレーターなど、お肌の状態を確認したうえで適した治療をご案内します。
参考にした研究
この記事で触れた研究の出典です。
- PubMed|Acne scarring: a classification system and review of treatment options(クレーターを3つの型に分けた分類)
- PMC|Acne scars: pathogenesis, classification and treatment(3つの型の大きさと割合)
- PMC|A systematic review of treatments for acne scarring. Part 1: Non-energy-based techniques(型ごとの治療の向き不向き)
- JCAD|Easy as PIE (Postinflammatory Erythema)(赤みと色素沈着は時間とともに薄くなりやすい)
