しみ・そばかす・肝斑|美容コラム

2024年1月3日

トラネキサム酸・シナールの作用機序や副作用は?当院の取扱薬を解説

トラネキサム酸 シナール

「肝斑にはトラネキサム酸がいいらしい」

「シナールも一緒に内服するといい」

シミや肝斑の治療に、薬物療法として「トラネキサム酸(トランサミン)」や「シナール」などの薬を処方されたことがあるかもしれません。トラネキサム酸やシナールは内服すると、体内でどのように効果を発揮するのでしょうか?

この記事では、当院で取り扱っているトラネキサム酸・シナール・ユベラ、外用薬のリンデロン・ハイドロキノンクリームについて、それぞれの作用機序・副作用・注意点を解説します。

肝斑で悩んでいる方や、薬についてよく理解した上で内服したいと考えておられる方は、ぜひ参考にしてくださいね。

トラネキサム酸とは?

トラネキサム酸

トラネキサム酸は、以下のような作用を持つ薬です。

  • 抗プラスミン作用
  • 止血作用
  • 抗アレルギー作用・抗炎症作用

トラネキサム酸の他に、「トランサミン」と称されることもあります。

抗プラスミン作用

プラスミンとは血液中でフィブリンと結合し、フィブリン血栓を溶解するタンパク質のひとつです。

トラネキサム酸は、プラスミンとフィブリンの結合を防ぐ作用があります。トラネキサム酸の作用により、フィブリン血栓の分解が抑えられます。これが抗線溶作用です。

止血作用

血液中にプラスミンが異常に増えると、血小板の凝集による止血作用が阻まれたり、血液の凝固因子が分解されたりします。出血が止まりにくい血液になるのです。

トラネキサム酸は抗プラスミン作用によって、フィブリンの分解を抑制し、止血に効果を発揮すると考えられています。

抗アレルギー作用・抗炎症作用

プラスミンは、アレルギー・炎症症状の原因になる物質を産生します。

トラネキサム酸はプラスミンの働きを抑えることで、抗アレルギー作用・抗炎症作用に貢献します。

トラネキサム酸の作用機序

トラネキサム酸の一般的な作用について理解できましたが、肝斑に対しては、どのように効果を発揮するのでしょうか?シミにも、効果が期待できるでしょうか?

肝斑に対する作用機序

実はプラスミンには、メラノサイト細胞を活性化する働きもあります。トラネキサム酸は抗プラスミン作用を持つため、メラノサイト細胞がメラニンを生成するのを抑制できるのです。

メラノサイト細胞がメラニンを生成するのを抑制することで、肝斑を初期の段階で抑える働きがあります。

シミに対する作用機序

トラネキサム酸は、シミにも効果が期待できます。メラノサイト細胞を活性化する、プラスミンの作用をブロックするからです。

シミができるプロセスは以下のとおりです。

  1. 紫外線・皮膚への刺激・女性ホルモンなどの刺激誘因物質が表皮細胞を刺激
  2. プラスミン・プロスタグランジンが真皮のメラノサイト細胞を活性化
  3. メラノサイト細胞内にあるチロシンがチロシナーゼ(メラニン生成酵素)によりメラニンとなる
  4. 生成されたメラニンが表皮細胞に集められ蓄積するとシミになる

トラネキサム酸はシミができるプロセスの2つ目の段階で、プラスミンがメラノサイト細胞を活性化する働きを抑制します。抗プラスミン作用が、シミの原因となるメラニンの生成を抑えることで、効果が期待できるのです。

トラネキサム酸の副作用・注意点

トラネキサム酸で起こる可能性のある副作用は、以下のような症状です。

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 下痢
  • 胸焼け

けいれん・めまい・手足のしびれ・手足のピクつき・ふらつき・ふるえ・意識が遠くなるなどの、重篤な副作用が現れた場合には、すぐに受診します。

飲み忘れに気付いた場合は、内服の間隔時間の前半であれば、すぐに飲み忘れた分を内服します。次の内服時刻が近づいている場合は1回飛ばして、指定されたタイミングに服用して下さい。決して、2回分を一度に内服しないように注意が必要です。

シナールとは?

シナール

シナールは、アスコルビン酸(ビタミンC)に、パントテン酸カルシウムが少量配合された薬です。錠剤と、顆粒状のタイプがあります。パントテン酸カルシウムとは、ビタミンB5です。

食事からのビタミン摂取が不十分な場合に処方されます。例えば、消耗性疾患・妊産婦・授乳婦などです。炎症後の色素沈着に対して、処方されることもあります。

シナールは皮膚の機能に対して、アスコルビン酸に少量のパントテン酸カルシウムを併用すると、アスコルビン酸の作用を有意に増大させることが確認され開発された薬です。

シナールの作用機序

シナール

シナールに含まれるアスコルビン酸(ビタミンC)は、メラニンの生成を抑制し、すでに生成されているメラニンを還元する作用が期待できます。またアスコルビン酸は、コラーゲンの生成を促進する働きをします。

メラニンの生成を抑制する

メラニンが生成される過程は、以下のとおりです。

  1. 真皮基底層のメラノサイト細胞が活性化される
  2. メラノサイト細胞内のチロシンがチロシナーゼの作用により「ドーパ」となる
  3. ドーパがチロシナーゼの働きにより「ドーパキノン」になりメラニンに変化する

アスコルビン酸はメラニンが生成される3つ目の段階において、ドーパがドーパキノンになる酸化過程を阻害する作用により、メラニンの生成を抑える効果が期待できます。メラニンの生成が抑制されると、表皮の色素沈着を軽減できます。

メラニンを還元する

アスコルビン酸には、すでに生成された表皮のメラニン(黒色メラニン)の色素を薄くする作用があります。黒色メラニンを淡色化させ、淡色還元型メラニンに変化させる作用が「還元」です。

表皮のメラニンの色素が淡色化されることで、シミの色が薄くなり、美白効果が期待できます。

コラーゲンの生成を促進する

アスコルビン酸は人体を構成するタンパク質のおよそ30%にあたる、コラーゲンの生成・保持を助ける成分です。

皮膚においてコラーゲンは、真皮の主要細胞である線維芽細胞によって生成されます。アスコルビン酸は、線維芽細胞に働きかけコラーゲンの生成を促進します。

シナールの副作用・注意点

シナール

シナール内服の副作用の症状は、以下の通りです。

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 胃の不快感
  • 下痢
  • 発疹
  • かゆみ

シナールを服用中に尿検査や、便潜血反応検査を実施すると偽陰性となり、正確な検査結果が得られないケースがあります。尿検査・便検査を受ける際には、シナールを内服中であることを医師や検査技師などの職員に伝えましょう。

シナールを飲み忘れた場合は、すぐに内服しますが、次の内服まであまり時間がない場合は1回分飲まずに、次の指定されたタイミングに服用します。決して、2回分まとめて飲まないで下さい。

シナールを保管する際は、多湿・直射日光の当たる場所を避けます。

ユベラとは?

ユベラ

ユベラには「ユベラN(カプセル)」「ユベラ錠」「ユベラ軟膏」がありますが、美容目的で使用されるのは、ユベラNとユベラ錠です。

ユベラN(以下、ユベラ)には、以下のような作用が期待できます。

  • 脂質代謝改善作用
  • 微小循環系賦活作用
  • 血管強化作用
  • 血小板凝集抑制作用
  • 血中酸素分圧上昇作用

ユベラの成分はトコフェロールニコチン酸エステルで、トコフェロール(ビタミンE)とニコチン酸が配合されています。ビタミンEは脂溶性のため、体内で効果をより長く持続するために開発された薬です。

ユベラは、高血圧症・脂質代謝異常・末梢循環障害の治療薬です。

ユベラの作用機序

ユベラはどのように美容医療で利用されているのでしょうか?

ユベラに配合されている、ビタミンEがポイントです。

ビタミンEには、抗酸化作用があります。紫外線によるダメージから、肌を保護する効果が期待できます。

また、微小循環系賦活作用により、皮膚の血流が促進され代謝が良くなります。代謝が良くなると、表皮のターンオーバーが促され、表皮に蓄積していたメラニンが垢として排出されやすくなるのです。結果として、シミやそばかすが薄くなる効果を期待できます。

ユベラの副作用・注意点

ユベラ

ユベラ内服中に起こる可能性のある副作用は、以下のような症状です。

  • 胃痛
  • 胃の不快感
  • 食欲不振
  • 下痢
  • 便秘
  • 発疹
  • 肝機能障害
  • 温感・ほてり
  • かゆみ
  • むくみ

温感・ほてり・かゆみなどは、末梢循環不全がユベラの作用によって、改善されることに起因します。その他、気になる症状が見られた場合は、処方されたクリニックに相談しましょう。

ユベラは高温・湿気を避けた場所に保存します。高温になると、カプセルが溶ける場合があるので、注意が必要です。

外用薬のリンデロンとは?

リンデロン

「リンデロン」と呼ばれる外用薬には、軟膏・クリーム・ローションなどの種類があります。ここでは、当院の施術後に処方される「リンデロンVG軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル・ゲンタマイシン硫酸塩)」(以下、リンデロン)について取り上げます。

梅田すずらんクリニックでは、QスイッチYAGレーザーによるシミ取り後に、リンデロンを塗布し保護テープを貼ります。リンデロンはレーザー照射によって皮膚に生じた炎症を抑え、細菌感染を予防するため、かさぶたが取れるまでを目安に、朝・晩の1日2回使用します。

リンデロンは、レーザー照射後の皮膚に生じる赤み・かゆみ・腫れなどの炎症症状を緩和すると同時に、抗菌作用によって感染を抑えるのが特徴です。

リンデロンの作用機序

リンデロンに含まれるステロイド(ベタメタゾン吉草酸エステル)は、プロスタグランジンなどの炎症を起こす物質を誘導する酵素の機能を抑えることで、抗炎症作用を発揮する薬剤です。

抗生物質(ゲンタマイシン硫酸塩)は、細菌のタンパク合成を阻害する働きによって、抗菌作用が期待できます。細菌感染のおそれのある場合や、細菌に感染した皮膚炎・湿疹などの治療に使われる塗り薬です。

リンデロンの副作用・注意点

リンデロン

リンデロンは、医師の指示に従って適切に使用することが大切です。シミ取りのレーザー照射後はリンデロンを塗り、新しい保護テープを貼ります。

リンデロンを塗る際には少量の軟膏を指先で、擦り込まずにやさしく患部にのせます。薬がややテカり、患部からはみ出さない程度が適量です。上から保護シールを、そっと貼ります。

リンデロンには、以下のような副作用があります。

  • 赤み
  • 皮膚の刺激感
  • 発疹(ほっしん)
  • 小さな水疱
  • 皮膚炎

上記以外にも、気になる症状が現れた際には、遠慮せず処方されたクリニックに相談して下さい。

リンデロンの使用上の注意点も、紹介します。

  • 高温・直射日光・湿気を避けて保管する(1~30℃)
  • 必ず子供の手の届かない場所に保管する
  • 薬が残った場合は破棄する
  • 軟膏が目に入らないように注意する
  • 使い忘れに気付いた場合すぐに塗布するが、次の使用時刻が近い場合は1回飛ばす
  • チューブを傷口に直接つけない
  • 清潔な手・新しい綿棒などで薬を患部に塗る
  • 医師の指示に従い傷が治ったら薬の使用を終了する

リンデロンはステロイドを含む薬剤のため、目に入れたり長期間使用したりすると、副作用が起こりやすくなります。ステロイドを、過度に恐れる必要はありません。しかし医師の指示に従い、用法・用量を守って使用することが大切です。

ハイドロキノンクリームとは?

ハイドロキノンクリーム

ハイドロキノンは、ブルーベリー・いちご・コーヒーなどに含まれる物質です。紫外線から、皮膚を守る作用が期待できます。アメリカで美白効果が認められて医薬品として開発され、日本でも2%までの配合が厚生労働省によって認可され、市販薬として販売されています。

梅田すずらんクリニックでは、医師の処方により5%と7%のハイドロキノンクリームを提供しています。

ハイドロキノンクリームの作用機序

ハイドロキノンクリーム

ハイドロキノンクリームは2つの作用機序によって、効果を発揮します。

  • メラノサイト細胞の活動を弱める
  • チロシンがメラニンへと生成される過程をブロックする

メラノサイト細胞の活動を弱める

ハイドロキノンには、表皮の基底層にあるメラノサイト細胞の活動を弱める効果が期待できます。

メラノサイト細胞は紫外線・皮膚への刺激・ストレスなどによって刺激され、メラニンを生成します。しかしハイドロキノンがメラノサイト細胞の活動を低下させるため、メラニンの生成は抑制されます。

メラノサイト細胞の活動が弱くなると、シミの原因であるメラニンが表皮に蓄積しにくくなり、美白効果が期待できます。

チロシンがメラニンへと生成される過程をブロックする

ハイドロキノンは、メラノサイト細胞内のチロシンがメラニンへと生成するために必要な酵素の働きをブロックする作用もあります。

シナールの解説でも紹介しましたが、メラニンの生成過程は、以下のとおりです。

  1. メラノサイト細胞が活性化される
  2. メラノサイト細胞内のチロシンがチロシナーゼの作用により「ドーパ」となる
  3. ドーパがチロシナーゼの働きにより「ドーパキノン」になりメラニンに変化する

ハイドロキノンは、チロシナーゼの働きを阻害します。チロシンがドーパとなる過程と、ドーパがドーパキノンになる過程をブロックするのです。チロシナーゼの働きが阻害されることで、メラニンの生成が抑制され、表皮のメラニンが次第に減少する効果が期待できます。

ハイドロキノンクリームの副作用・注意点

ハイドロキノンクリームには、以下のような副作用が起こる可能性があります。

  • かぶれ
  • かゆみ
  • 皮膚の刺激感
  • 赤み

ハイドロキノンクリームを塗った皮膚が紫外線を浴びると、シミが濃くなる可能性があります。紫外線対策は、怠らないようにしましょう。

梅田すずらんクリニックでは医師の指示のもと、夜の洗顔後に1日1回、化粧水・乳液使用後に塗布するよう処方しています。日中の外出前に、ハイドロキノンクリームを塗らないように注意が必要です。

またハイドロキノンクリームは時間の経過とともに、黄色や茶色に変色します。変色はクリームが酸化した状態のため、使用せずに破棄しましょう。

美白内服薬の処方は梅田すずらんクリニックへ

ここまで、美容医療でよく処方される薬について解説しました。

簡単にまとめると、薬のそれぞれの作用は以下のとおりです。

薬剤名作用
トラネキサム酸メラノサイト細胞がメラニンを生成するのを抑制
シナールメラニンの生成を抑制・メラニンを還元・コラーゲンの生成を促進
ユベラ抗酸化作用・ターンオーバーの促進によりメラニンの排出を促す
リンデロン抗炎症作用・抗菌作用
ハイドロキノンクリームメラノサイト細胞の活動を弱める・メラニンの生成過程をブロック

一部の薬剤は、市販でも販売されています。しかし処方薬には市販の薬よりも、有効成分が多く含まれているのが特徴です。より高い効果を期待するのであれば、処方薬の使用を検討するのも良いかもしれませんね。

梅田すずらんクリニックでは、トランサミン錠(トラネキサム酸)・シナール配合錠・ユベラNソフトをセットにした「肝斑内服セット」をご用意しています。また、ハイドロキノンクリームの処方もしています。

美容内服薬をお試しになりたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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