目の下のくぼみはなぜできる?見分け方と治療の向き不向きを解説
目の下のくぼみとは、目の骨の縁のすぐ下にできる溝を指します。茶色や青っぽいクマと違って、見えているのは溝が落とす影なので、コンシーラーを重ねても消し切れません。
くぼみの見え方には、皮膚や脂肪の変化、生まれつきの骨格、目の下にある脂肪のふくらみなどが関係しています。黒クマやたるみと重なって見えることも多く、見た目だけでは区別しにくいでしょう。
まずは目の下で何が起きているのかを整理し、セルフケアで対応できる範囲と、治療を考えるときの判断材料を見ていきます。
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目次
目の下のくぼみの原因

目の下のくぼみをつくる溝は、眼窩(眼球が収まる骨のくぼみ)の下の縁に沿って、目頭から目尻のほうへ伸びています。目頭側の溝は医学的に「ティアトラフ」、目尻側は「リッドチークジャンクション」と呼ばれ、人によっては1本につながって見えます。
年齢とともにこの溝が目立ってくる理由として、目の下の解剖を調べた研究でいちばん有力とされているのは、皮膚と脂肪が痩せることです。そこに目の下のふくらみが加わったり、生まれつき骨格の支えが弱かったりすると、溝はより深く、早くから目立ちやすくなります。
皮膚と脂肪の減少
目頭側のティアトラフでは、目の周りを囲む眼輪筋が骨に直接付き、さらに靱帯が皮膚を骨側につなぎ留めています。そのため、もともと周りとの段差が生まれやすいといえるでしょう。
年齢とともに皮膚や脂肪が薄くなると、周りのボリュームは減るのに、靱帯で留められた部分は動かないため、そこだけが引き込まれたようにくぼんで見えてきます。頬の脂肪が減ることも、目の下の影を濃くする一因として目の下の暗さを扱った論文で挙げられています。
なお、加齢による骨の変化が関係するとする研究もありますが、韓国人107人を対象としたCT研究では、眼窩の開口部の高さや面積に有意な年齢差は認められませんでした。白人を対象にした研究では開口部が広がるという結果が出ており、人種によって結果が分かれています。目の下のくぼみの原因を「骨が痩せるから」と言い切るのは難しいでしょう。
目の下の脂肪のふくらみ
目の下の脂肪がふくらんでいると、同じくぼみでも深く見えやすくなるでしょう。目の下のクマに関する総説では、眼窩脂肪のふくらみがクマを直接つくることはないものの、前に出るとティアトラフが深くなり、クマが目立つと説明されています。
眼球を支える眼窩脂肪が前に出ると、ふくらんだ部分には光が当たり、すぐ下の溝には影が落ちます。溝の底の位置は変わらなくても影が濃く見えるのは、上がせり出したぶん段差が大きくなるためです。
ふくらみが主な原因なら、くぼみを埋める前に、目の下のたるみを取る方法を先に考えることになります。
生まれつきの骨格
目の下のくぼみが20代・30代のうちから目立つ人では、生まれつきの骨格が関わっていることがあります。年齢による変化がまだ少ない時期のくぼみは、土台になる骨の形がそのまま表に出ているといえるでしょう。
前述の骨の研究では、生まれつき骨格の支えが弱い人では、骨そのものが早くから老けて見える主な原因になりうるとされています。目の下のクマを診る手順を専門家がまとめた論文でも、くぼみの原因として大きく分けるのは、年齢による変化と、生まれつきの骨の形の2つです。骨の形によるくぼみには、頬の骨(上顎骨)が生まれつき後ろに下がっているものなどがあり、成人して間もない若い人や、北東アジア・東南アジアの人によく見られるとされています。
前述の総説でも、ティアトラフだけがくぼむタイプのクマは若い人によく見られ、その多くは溝を埋めるだけで改善が見込めるとされています。
目の下のくぼみの見分け方

目の下のくぼみと黒クマ、たるみは、別々の症状として語られることがあります。しかし、実際には互いに関係しており、同時にあらわれることもあります。
それぞれの違いを整理すると、次のとおりです。
| 種類 | 正体 | 見た目 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| くぼみ | 骨の縁の下にできる溝 | 横に伸びるへこみ | 不足したボリュームを補う |
| 黒クマ | 溝やふくらみが落とす影 | 黒っぽい影 | 影の原因となる溝やふくらみに対処する |
| たるみ | 目の下の脂肪のふくらみや皮膚のゆるみ | 前に出たふくらみと、その下の段差 | 脂肪のふくらみや皮膚のゆるみに対処する |
くぼみだけでも黒クマのように見えますが、上にふくらみがあると、同じ溝でも影が濃くなり、黒クマの治し方も変わってきます。
自分の目の下がどの状態に近いか、鏡を使って次の2点を確認してみましょう。
- ふくらみの有無:明るい場所で正面・斜め・横から見て、溝の上にふくらみがないか確かめる
- 顔の向きによる影の変化:鏡を持って上を向いたとき、目の下の影が薄くなるか確かめる
溝の上にふくらみがあれば、たるみも関わっていると考えられます。また、上を向いて光が目の下に入り、影が薄くなるなら、顔の凹凸による影が関係している手がかりになります。
ただし、どちらも見た目から判断するための目安で、原因を確かめるには診察が必要です。
さらに、クマがなぜできるのかは色によって違い、茶色い色素沈着や青っぽく透ける血管など、別の原因によるクマが重なっている人もいます。
目の下のくぼみにセルフケアでできること

アイクリームを塗ったりマッサージをしたりしても、目の下のくぼみはなかなか埋まりません。
くぼみには、皮膚の表面より奥にある脂肪や骨格、靱帯などが関わっています。厚生労働省が示す化粧品の効能の範囲にも、くぼみを埋めたり、失われたボリュームを補ったりする効能は含まれていません。
また、マッサージによって目の下の溝が埋まるという十分な研究根拠は確認されておらず、強くこすると薄い皮膚に負担をかけかねません。
一方、セルフケアでくぼみを目立ちにくく見せる工夫はできます。
- 保湿:乾燥による小ジワを目立たなくする
- メイク:明るめの色のコンシーラーを溝に沿って少量置き、周りになじませる
- 照明:顔の正面から光を当て、目の下にできる影を和らげる
照明の当たり方でも、見た目はずいぶん変わるでしょう。前述の、目の下のクマを診る手順をまとめた論文でも、頭上からの光はクマを濃く見せ、顔に正面から当たる光は目立ちにくくすると説明されています。在宅会議なら、照明を顔の正面に置くだけでも影がやわらぎます。
ただし、どれも見た目を整えるための工夫で、溝そのものは埋まりません。溝を埋めたいなら、美容医療での治療を考えてみてください。
目の下のくぼみを改善する方法

目の下のくぼみを改善する治療は、不足している部分にボリュームを補う方法が中心になります。ただし、脂肪のふくらみや皮膚のたるみが強い人は、注入だけでは十分に整わないかもしれません。
診察では、くぼみの深さに加えて、目の下のふくらみや皮膚の状態を確認し、注入治療と手術のどちらが適しているかを判断します。
なお、肌の質感を整えることを目的とした肌育注射は、ボリュームを補って溝を埋める治療とは目的が違います。
ヒアルロン酸注入
ヒアルロン酸注入では、くぼみに沿ってヒアルロン酸を入れ、周りとの段差をなだらかにします。切らずにボリュームを足せることと、注入した直後から変化が分かりやすいことは、目の下のヒアルロン酸の効果としてよく挙げられます。
注入後に起こりやすいのは、内出血と腫れです。まれに、浅く入ったヒアルロン酸が青く透けて見えるチンダル現象や、しこり、血管の詰まりが起こることもあります。施術を考えるなら、こうした目の下のヒアルロン酸のデメリットも先に知っておきましょう。
国内のヒアルロン酸製剤の添付文書は、まぶたへの使用を適応外としています。一方で、目の骨の縁の下については、慎重に注入するよう警告しています。目の下のくぼみがそのどちらに当たるのか、はっきりした線引きはありません。
効果の持続は、目の下への注入をまとめた系統的レビューで、8〜12か月ほどと報告されています。
脂肪注入
脂肪注入では、自分の体から採取した脂肪を目の下に入れて、くぼみにボリュームを補います。
前述の総説では、ヒアルロン酸注入に比べて、ふくらみすぎやチンダル現象が起きにくいとされています。
一方で、脂肪の採取と注入の両方が必要なので、施術に時間がかかるのは避けられません。術後の腫れが長引くこともあり、注入した脂肪をあとから取り除くことが難しい点にも注意が必要です。
なお、当院では脂肪注入を行っていません。
目の下の手術
目の下の脂肪のふくらみや皮膚のたるみが強い人には、注入より手術が検討されることがあります。2026年に出た総説によると、注入が向くのは、くぼみが軽く、皮膚の状態がよく、たるみや脂肪のふくらみが少ない人で、くぼみが中程度より深ければ、手術のほうが結果を予測しやすく長持ちするとされています。
代表的な手術は、次の2つです。
- 脱脂:目の下に突き出た余分な眼窩脂肪を取り除く方法
- ハムラ法:溝をつくっている靱帯を外し、目の下の脂肪をくぼんだ部分へ移して段差を整える方法
脱脂は脂肪のふくらみに対処する治療ですが、脂肪を取りすぎると、かえって目の下がくぼんで見えることがあるとされています。
一方、ハムラ法では、ふくらみの原因となる脂肪をくぼみへ移すため、ふくらみと溝の両方に対応できます。どの術式が合うかは、皮膚のたるみや脂肪の状態によって変わってくるでしょう。
なお、当院では脱脂・ハムラ法を行っていません。
目の下のくぼみでよくある質問
若いのに目の下がくぼむのはなぜですか?
20代・30代で目の下がくぼむのは、生まれつきの骨格が関係していることがあります。目頭側のティアトラフだけがくぼむタイプは、若い人に多いとされています。
コラーゲンで目の下のくぼみは治せますか?
コラーゲン配合の化粧品を塗っても、目の下のくぼみそのものを埋める効果は確認されていません。くぼみには皮膚の下の脂肪や骨格などが関係するため、肌表面のケアとは分けて考える必要があります。
水分不足でくぼむことはありますか?
肌の乾燥によって小ジワが目立ち、目の下の影が濃く見えることはあります。ただし、骨の縁の下にできた溝そのものは、水分補給や保湿では埋まりません。
脱脂のあとに目の下がくぼむことはありますか?
目の下の脱脂手術で脂肪を取りすぎると、術後にくぼみが目立つことがあるとされています。脱脂後の見た目が気になるときは、まず手術を受けたクリニックで状態を確認してもらいましょう。
上まぶたのくぼみとは違いますか?
目の下のくぼみと、上まぶたがへこむ「くぼみ目」は異なります。関係する組織や診察で確認する内容も違い、この記事では目の下にできる溝について解説しています。
まとめ
この記事では、目の下のくぼみができる原因や見分け方、セルフケアと美容医療による改善方法を解説しました。
- 目の下のくぼみは骨の縁のすぐ下にできる溝
- 皮膚や脂肪の減少、骨格、脂肪のふくらみが関係する
- 保湿やメイクで影をぼかせても溝そのものは埋まらない
- 治療はくぼみの深さや脂肪のふくらみを見て判断する
目の下の影が気になっていても、くぼみを埋める治療が合うのか、たるみへの対処が必要なのかは、自分では判断しにくいものです。
梅田すずらんクリニックでは、目の下の状態を診察したうえで、ヒアルロン酸注入が適しているかをご案内しています。大阪・梅田でヒアルロン酸注射を検討しているかたは、お気軽にご相談ください。
参考にした研究
この記事で触れた研究の出典です。英語の論文には、日本語で中身を添えています。
- PubMed|The tear trough and lid/cheek junction: anatomy and implications for surgical correction(目の下の解剖の研究)
- JCAS|Infraorbital Dark Circles: A Review of the Pathogenesis, Evaluation and Treatment(目の下の暗さの総説)
- PubMed|Changes in the facial skeleton with aging: implications and clinical applications in facial rejuvenation(加齢による顔の骨の変化)
- PubMed|Aging of the bony orbit in East Asians: a three-dimensional computed tomographic study(韓国人107人のCT研究)
- Annals of Dermatology|Treatments of Infra-Orbital Dark Circles by Various Etiologies(目の下のクマの総説)
- PubMed Central|Lower Eyelid Dark Circles (Tear Trough and Lid-Cheek Junction): A Stepwise Assessment Framework(専門家がまとめた診る手順)
- PubMed|Dermal Fillers for Tear Trough Rejuvenation: A Systematic Review(ヒアルロン酸注入の系統的レビュー)
- PubMed|Tear Trough Deformity: Update on Anatomy and Clinical Management(2026年の総説)
