2024年5月6日更新日:2024年6月15日
ニキビが毛穴にできるのはなぜ?原因と治療法をわかりやすく解説
「ニキビって10代を過ぎたら、自然にできなくなるんだと思ってた」
「ニキビ跡も、いくつか残っちゃって、どうしたらいいんだろう?」
成人以降も、ニキビに悩まされることがありますよね。ニキビができるメカニズムには、毛穴が深く関係しています。
この記事では、ニキビと毛穴の関係・ニキビができる原因・治療法などについて、わかりやすく解説します。
ニキビやニキビ跡に悩まされている人は、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
ニキビと毛穴の関係
出典:ac-illust.com
ニキビは、毛穴以外の部位にはできません。
毛穴とは医学的に、上の図にある「毛包」のことです。皮膚の表面から毛根までを覆う、縦長の袋のような形状です。毛穴には、以下の3つのタイプがあるとされています。
- 産毛が生える毛穴
- 頭髪・ワキ毛・アンダーヘアなどが生える毛穴
- 体毛が生え皮脂を分泌する毛穴
顔・胸・背中には、皮脂を分泌するタイプの毛穴が多いため、ニキビができやすい部位になるのです。上の図に黄色で描かれている「皮脂腺」から、毛穴の中に皮脂が分泌されます。
通常は、毛穴の中でできた垢とともに、皮脂も毛穴の外に排出されますが、毛穴の中に皮脂がたまるとニキビの症状が現れはじめます。
毛穴にニキビができる原因
毛穴でできるニキビには、以下のような複数の原因が関係しています。
- 皮脂の過剰分泌
- 毛穴の詰まり
- 毛穴のたるみ
- 雑菌の増加
ひとつずつ、解説します。
皮脂の過剰分泌
毛穴から分泌される皮脂には、肌を保湿したり保護したりする働きがあります。ところが、肌の乾燥・ホルモンバランスの変化などのため、皮脂が過剰に分泌されることがあります。
毛穴から排出しきれず、洗顔で落としきれなかった皮脂が、ニキビの原因になるのです。
毛穴の詰まり
肌のターンオーバーが遅れ、古い角質が剥がれ落ちず、角質化して毛穴を塞ぐと、毛穴が詰まります。
また、皮脂が大量に分泌されて毛穴からの排出が追いつかなくなったり、毛穴の新陳代謝が低下して垢が溜まったりすると、毛穴が詰まります。毛穴を皮脂や老廃物が埋め尽くすと「角栓」となり、毛穴に埋まるのです。
毛穴のたるみ
毛穴のたるみは、加齢とともに皮膚のコラーゲンなどの、弾力を保つ成分が減少することで生じます。毛穴周りの皮膚のハリが低下し、毛穴を引き締められなくなって、毛穴の入口だけでなく毛包全体もたるんで、容積が大きくなるのです。
毛穴全体の容積が増えれば、溜まる皮脂量も増加し、ニキビの原因となります。
雑菌の増加
皮膚の表面には「常在菌」と呼ばれる、たくさんの細菌が存在し、役目を果たしています。ところが、毛穴が詰まると、毛穴の中で細菌が増殖し、ニキビの原因になるのです。
ニキビと、関連が深い常在菌が「アクネ菌」です。毛穴の皮脂量の増加にともなって、アクネ菌も増加し、炎症を起こします。
ニキビの分類
ニキビやニキビ跡は、患部の状態によって分類されます。ここでは、以下の4つに分けて解説します。
- 白ニキビ・黒ニキビ
- 赤ニキビ・黄ニキビ
- ニキビ跡
- ニキビ跡色素沈着
それぞれ取り上げます。合わせて「ニキビがどれくらいで治る」かの記事も参考にしてください。
白ニキビ・黒ニキビ
「白ニキビ」は、毛穴に皮脂が大量に溜まった状態です。「黒ニキビ」は、毛穴に溜まった皮脂が酸化して、黒くなった状態を指します。
白ニキビ・黒ニキビはどちらも、まだ炎症を起こしていません。毛穴の皮脂を取り除くと毛穴のコンディションは回復します。
ただし、毛穴パックで角栓を剥がし取ろうとしたり、爪で押し出そうと圧力を加えたりすると、毛穴が広がりクレーター状の穴があく可能性があります。毛穴にニキビができやすい状態となるため、強い刺激は避けましょう。
赤ニキビ・黄ニキビ
「赤ニキビ」は、毛穴の中でアクネ菌をはじめとする細菌が増え、炎症を起こした状態です。「黄ニキビ」は、炎症を抑えようと免疫反応が生じた結果、毛穴に膿が溜まった状態です。
赤ニキビ・黄ニキビは、痛み・かゆみ・違和感などの症状を伴います。炎症を早めに抑え込むことが、ニキビ跡やニキビ跡色素沈着を避けるカギです。
ニキビ跡
「ニキビ跡」は、ニキビが悪化し皮膚の真皮にダメージが及んで、傷跡として残ったものです。真皮の細胞組織が元に戻らなくなり、コラーゲンが消失して、肌に凹凸が残るのが特徴です。
繰り返すニキビや、ニキビを潰すことで、ニキビ跡ができやすくなります。ニキビができるのを予防したり、できてしまったニキビを初期段階で治療することが、ニキビ跡を避けるために役立ちます。
ニキビ跡色素沈着
ニキビ跡では、表皮のターンオーバーが崩れ、角質の排出がうまく進まずに、メラニンが肌に沈着することがあります。これが「ニキビ跡色素沈着」です。
ニキビ跡色素沈着は、通常は、半年ほどで目立たなくなりますが、ニキビによるダメージの影響で真皮まで色素沈着が及ぶと、自然に回復することが難しくなります。
ニキビの症状が強い場合は皮膚科を受診
ニキビの赤み・痛み・腫れ・膿など、炎症症状が強い場合は、皮膚科を受診しましょう。
炎症がひどくなくても、軽症のうちに治療すれば、ニキビの重症化・ニキビ跡・ニキビ跡色素沈着などのトラブルを抑えられます。
皮膚科では「アダパレン(ディフェリンゲル)」などの、保険適用の塗り薬(外用薬)を処方してもらえます。軽症から、重症のニキビ治療にも使える外用薬です。白ニキビ・黒ニキビは1か月程度、炎症を起こしている赤ニキビ・黄ニキビは2~3か月程度で回復します。
炎症が強いニキビの治療に対しては、抗生物質の外用薬・内服薬を併用することもあります。
ニキビが大人になってもできるのは?
大人になると、思春期のころよりも、皮脂の分泌量は少なくなります。皮脂が減っても、ニキビができるのは、以下のような要因が関係しています。
- 食生活の乱れ
- 睡眠時間の不足
- 間違ったスキンケア
仕事や育児など、忙しさに押しつぶされて、栄養バランスが偏ると、ニキビができやすくなります。特に、脂質・糖質の多い食事は、注意が必要です。皮脂の過剰分泌によって、毛穴が詰まりやすくなるからです。
睡眠時間が足りないと、皮膚のターンオーバーが遅れたり、ホルモンバランスが乱れたりします。肌の新陳代謝が低下すると、角質が毛穴を塞ぎ、毛穴が詰まってニキビの原因となります。
皮脂を洗い流そうと、強力な洗顔料を使用したり、長い時間をかけて洗顔したりすると、必要以上に肌の油分を失いかねません。肌の乾燥は、皮脂の分泌を促すため、過剰な皮脂がニキビの原因になる可能性があります。
ニキビ対策になる毛穴ケア
ニキビ対策では、ニキビができにくくする毛穴ケアが欠かせません。以下の4つの毛穴ケアで、ニキビを予防しましょう。
- 洗顔で皮脂を洗い流す
- 保湿する
- 油分の多い食事は控えめに
- 質の良い睡眠をとる
順番にお伝えします。
洗顔で皮脂を洗い流す
毛穴の汚れを落とす洗顔料も役立ちますが、刺激の強い成分が含まれていることもあります。
手軽な方法として、ぬるま湯で毛穴を開き、皮脂を緩ませると、洗い落としやすくなります。
保湿する
洗顔後は、保湿を忘れないようにします。肌が乾燥すると、皮脂の過剰分泌を招くからです。ターンオーバーをスムーズに繰り返すためにも、水分が欠かせません。
化粧水で水分を補い、乳液やクリームで油分を補いますが、ニキビができやすい部位は油分の量を調節するとよいでしょう。
油分の多い食事は控えめに
油分を多く含む食事は、皮脂の分泌を促進します。
気をつけたいのが、チョコレートやポテトチップスなどのお菓子類です。インスタントラーメンにスナック菓子という組み合わせは、手軽で美味しくても、ニキビという手痛いしっぺ返しの原因になる可能性があるのです。
質の良い睡眠をとる
質の良い睡眠は、毛穴を含め、肌のコンディションを整えるために欠かせません。
睡眠中に分泌される成長ホルモンで、皮膚のターンオーバーを維持し、毛穴の状態を健康的に保ちましょう。
ニキビ跡や毛穴詰まりには美容治療
ニキビ跡が気になる場合や、ニキビの原因となる毛穴の詰まりを解消するために役立つ、美容治療があります。
ここでは、以下の6つの方法を紹介します。
- ハイドラフェイシャル
- ダーマペン
- ポテンツァ
- IPL光治療
- ケミカルピーリング
- イソトレチノインの内服
それぞれ、解説します。
ハイドラフェイシャル
ハイドラフェイシャルで、毛穴の詰まることを予防する効果が期待できます。ハイドラフェイシャルの特徴は、美容成分を含んだ渦巻き水流の力で、マイルドな施術が可能な点です。
ハイドラフェイシャルでは、角質を柔らかくする薬剤を顔に塗って、専用のチップで余分な角質をピーリングします。続いて、毛穴を吸引し、ホームケアでは取り切れない、毛穴の垢・皮脂・汚れを取り除きます。最後に、美容液を浸透させて終了です。
皮膚の余分な角質を取り除くことで、角質が毛穴を防いで詰まらせる状態を避けられます。毛穴に詰まっている皮脂・老廃物・汚れをスッキリ洗い流すので、皮脂が毛穴に詰まって、ニキビを引き起こす事態を回避できるのです。
「ハイドラフェイシャルで毛穴吸引をしたら、毛穴が広がらないかしら?」という疑問には「ハイドラフェイシャルで毛穴が広がる?嘘か真か真相はどちら?」の記事がおすすめです。
ダーマペン
ダーマペンの施術で、ニキビ跡の軽減効果が期待できます。
ダーマペンのチップについている極細の針で、肌に無数の穴を開けると、傷を治そうとする「創傷治癒力」が働きます。真皮の線維芽細胞が刺激されて、コラーゲンやエラスチン線維の生成が盛んになるのです。
真皮の弾力が向上し、ニキビ跡によってできた肌の凹凸が徐々に目立たなくなります。
ダーマペンの、痛みの程度が気になる場合は「ダーマペンの痛みは施術メソッドで軽減できる!3つの方法をご紹介」をご参照ください。
ポテンツァ
ポテンツァは、ニキビ跡の治療に役立ちます。
ポテンツァのチップには針がついていて、皮膚に刺すとラジオ波が照射されるのが特徴です。ラジオ波が真皮から皮下組織まで、熱エネルギーを発生させると、線維芽細胞が活性化されコラーゲン・エラスチン線維・ヒアルロン酸などの生成が促進されます。
真皮に及んだニキビのダメージで失われたコラーゲンを、ポテンツァの熱エネルギーで再生し、肌の凹凸が徐々になだらかになるのです。
ポテンツァに期待できる、さらに詳しい情報は「ポテンツァの効果とは?これまでの美容治療との違いをわかりやすく解説」の記事がおすすめです!
IPL光治療
IPL光治療(フォトフェイシャル)は、毛穴の開きを引き締め、ニキビ跡色素沈着の回復を促す効果が期待できます。
IPLの光はマイルドながら、さまざまな波長を使って肌の悩みを解消します。光の照射によって生じた熱エネルギーが、コラーゲンの生成を促し、肌のハリが向上するため、毛穴も引き締めることが可能です。
IPLの光が表皮のメラニンにダメージを与えるため、徐々にターンオーバーによって体外へ排出され、ニキビ跡色素沈着の回復が早くなります。
IPL光治療のニキビ跡の治療について、詳しくは「フォトフェイシャルはニキビ跡に効果がある?ニキビの種類や治療の注意点を解説」をご覧ください。
ケミカルピーリング
ケミカルピーリングは皮膚の古い角質を剥離して、ターンオーバーを整える効果が期待できます。
ニキビの原因となる、毛穴詰まりを引き起こす古い角質を除去することで、ニキビができにくい毛穴になります。また、新陳代謝が促進され、過剰な皮脂の分泌が抑えられるため、毛穴に溜まりにくくなるのもメリットです。
ケミカルピーリングのダウンタイムや、症状が気になる場合は「ケミカルピーリングのダウンタイムは何日?症状や経過・ケア方法を解説」の記事が役立ちます。
イソトレチノインの内服(※当院では取り扱っておりません)
イソトレチノイン(商品名:アキュテイン)は、繰り返すニキビ・難治性ニキビの治療薬として、米国等で使用されているニキビ治療薬です。日本では未承認のため、医師の判断で個人輸入した薬が処方されています。
イソトレチノインは、レチノイド(ビタミンA誘導体)を主成分とする内服薬で、以下のような効果が期待できます。
- 皮脂の分泌を抑制する
- 抗炎症作用
- ターンオーバーを整える
- 毛穴の詰まりを予防する
ただし、妊娠を予定している・妊娠の可能性がある・妊娠中の場合は、決して内服しないでください。流産・早産・死産のおそれがあるほか、胎児に先天性の奇形を引き起こす可能性があるからです。
イソトレチノインについては、厚生労働省のサイトもご確認ください。
イソトレチノインの処方を希望する場合は、取り扱いのあるクリニックを受診してください。
ニキビや毛穴のお悩みは梅田すずらんクリニックへ
ニキビと毛穴の関係について、解説しました。ニキビの分類や、治療についても紹介しました。ニキビ対策として毛穴のセルフケアをしても、ニキビができる場合があります。
もし繰り返すニキビや、ニキビ跡に悩まされているなら、美容医療で治療してみませんか?
梅田すずらんクリニックは、美容皮膚科です。皮膚のキレイの専門家がそろっています。あなたの肌の悩み、遠慮なくご相談ください。