2024年6月17日更新日:2024年7月3日
フォトフェイシャルでシミが濃くなるといわれる理由とは?
「フォトフェイシャルでシミが濃くなるのでは?」と思われることがあるようですが、これは誤解であることを説明するのがこの記事の目的です。
フォトフェイシャルは顔に特殊な光を照射し、さまざまな肌トラブルの改善に効果が期待できる美容治療であり、適切に行われればシミが濃くなるといったことはありません。
この記事では、フォトフェイシャルに関する誤解が生じる理由を中心に説明します。記事の後半では、フォトフェイシャルを受ける際に注意したいことやフォトフェイシャル以外でシミに効果的な治療法についても解説しています。
なお、フォトフェイシャル(IPL)とは、もともと光治療器の名称でしたが、現在ではIPL光治療一般を指す治療用語として定着しており、本記事でもそのような意味合いで使用しています。
本記事を通じて、フォトフェイシャルの正しい知識を身につけ、より効果的な肌ケアを目指しましょう。
目次
フォトフェイシャルで得られる効果とは
フォトフェイシャルは、IPL(Intense Pulsed Light)という特殊な光を肌に照射することにより、薄いシミやそばかす、赤ら顔などの肌トラブルにアプローチする治療です。
フォトフェイシャルで照射する光の波長は560nm~1,200nmと幅広く、波長の長さを調整することによりさまざまな肌トラブルに対応できます。
フォトフェイシャルの光はシミの原因となるメラニン色素や毛細血管(ヘモグロビン)などに反応し、熱となってダメージを与えます。また、真皮層にある線維芽細胞(せんいがさいぼう)を刺激し、肌のハリ・弾力を担うコラーゲンやエラスチン、潤いを保つヒアルロン酸などの生成を促します。
フォトフェイシャルの光はカメラのフラッシュのような優しい光であるため肌へのダメージや痛みも少なく、ダウンタイムもほぼありません。施術後にすぐメイクもできるため、手軽に受けられます。
ただし、すべてのシミに効果があるわけではなく、浅く薄めのシミには効果的ですが、深い層にある濃いシミにはあまり向いていません。
フォトフェイシャルでシミが濃くなるといわれる理由
フォトフェイシャルはマイルドな効き目で肌へのダメージも少ない治療ですが、照射後にシミが濃くなるとの声が聞かれることがあります。
ここでは、その理由について解説します。
肝斑が濃くなることがある
フォトフェイシャルをシミのひとつである「肝斑(かんぱん)」に照射すると、悪化するケースがあります。
肝斑は紫外線や女性ホルモン、物理的な摩擦などにより発生するシミであり、少しの刺激でも悪化しやすい傾向があります。そのため、フォトフェイシャルを肝斑に照射することで炎症が強くなり、悪化することがあるのです。
そのため、フォトフェイシャルの施術前にシミが肝斑ではないかを見分けておく必要があります。シミの見分け方については「ADMとシミの見分け方」で詳しく解説しているので、参考にしてください。
隠れジミが表面化する
フォトフェイシャルの光を照射すると、隠れジミが表面に浮き出てくることがあります。肌の深層である真皮層まで届いた光が作用することでメラニンが肌表面に浮き上がり、一時的にシミが濃くなると感じるのです。
しかし、このようにメラニンが浮き上がるのは失敗ではなく、むしろフォトフェイシャルの効果が出ている証拠といえます。多くはターンオーバーにより1〜2週間程度で薄くなっていくので、安心してください。
しかし、シミが濃くなった・増えたと思って治療を途中でやめてしまうと、せっかく肌表面まで押し上げられ排出されようとしていたメラニンが表皮にとどまってしまうため、注意してください。自己判断で治療をやめず、気になることや不安があれば、気軽に医師に相談しましょう。
シミが消えないと感じる
フォトフェイシャルの光はメラニン色素に反応する仕組みであるため、メラニン色素が少ない場合には光の反応が弱くなり、シミが消えないと感じることがあります。
そもそも、フォトフェイシャルはマイルドな効果が期待できる治療です。レーザー治療のように1回だけの施術でメラニン色素を破壊し、完全にシミを除去するといった類のものではありません。
痛みやダウンタイムもほぼないような優しい光で複数回にわたる治療をし、最終的には「薄いシミを目立たなくする」のが目的です。
もし回数を重ねてもシミが消えないと感じる場合は、他のアプローチが有効であることも考えられるため、医師に相談してみましょう。
一度しか施術をしていない
フォトフェイシャルはレーザー治療よりも穏やかなエネルギーを顔全体に照射し、幅広い肌トラブルにアプローチする治療です。そのため、回数を重ねる必要があります。
レーザーのように一度だけの照射で分かりやすい効果が得られるというより、複数回に分けて徐々に効果が出てきます。
そのため、たった一度だけの施術では変化がないと感じられることがあるかもしれません。
フォトフェイシャルを受ける際の注意点
フォトフェイシャルを受けようと思ったら、以下の注意点を押さえておきましょう。
- 短期間に繰り返し施術を受けない
- 顔のシミは実は肝斑ではないか調べておく
- リスクが高い状態のときは施術を控える
- 効果の出にくいシミもある
- 施術後はセルフケアを行う
では、それぞれ説明します。
短期間に繰り返し施術を受けない
フォトフェイシャルは医師の指示のもと、適切な頻度・回数を行いましょう。
週に数回など短い期間のうちに連続して施術を繰り返すと、肌にダメージが蓄積して機能が低下し、逆に肌トラブルを引き起こしかねません。その結果、肌が荒れやすくなったり、色素沈着ができたりします。
肌の状態や性質は個人差があるため、医師に相談しながら適切な頻度・回数を守りましょう。
「フォトフェイシャルをやりすぎるとどうなる?」の記事も参考にしてください。
顔のシミは実は肝斑ではないか調べておく
すでに説明した通り、フォトフェイシャルで肝斑が悪化するケースがあるため、フォトフェイシャルを受ける前にシミが肝斑でないかどうかの見極めが必要です。
肝斑は30〜40歳の女性によく見られ、頬骨のあたりに左右対称にもやもやとして輪郭のはっきりしない形であらわれます。60歳を過ぎると自然治癒することもあります。
肝斑でないシミとしては、いわゆる「シミ」である老人性色素斑やそばかす、またアザの一種であるADMなどがあり、これらとの見分けが必要です。
リスクが高い状態のときは施術を控える
妊娠中・授乳中の人や、顔にヘルペスができている人など施術のリスクが心配されるときは、フォトフェイシャルを控えましょう。また、過度な日焼けなども肌がダメージを受けている状態なので注意したほうが良いでしょう。
また、光線過敏などで光アレルギーを持っている人も、光の照射が難しい場合があるため、事前に相談しておくことが重要です。
効果の出にくいシミもある
フォトフェイシャルは部分的なシミではなく、顔全体のトーニングに適しています。特定のシミを狙い撃ちして劇的な変化を得たい場合にはやや不向きといえ、そのようなときは一般的にレーザー治療が向いています。
また、フォトフェイシャルの光はメラニン色素に反応し、色素の量が少ないと反応しづらいこともあるため、そのようなときは思ったほどの効果が得られないケースもあるということを知っておきましょう。
施術後はセルフケアを行う
フォトフェイシャルの施術後は、一時的に肌が乾燥しやすく、紫外線の影響も受けやすい状態になっています。そのため、保湿ケアや紫外線対策などのセルフケアが欠かせません。
また、施術後数日は肌への刺激を避け、やわらかく刺激の少ないスキンケアアイテムに変えるなどの工夫も大切です。
フォトフェイシャル以外でシミに効果のある治療法
フォトフェイシャル以外でシミを治療できる代表的な方法としてQスイッチYAGレーザー、エレクトロポレーション、美容点滴(白玉点滴)などがあります。
これらの治療について説明します。
QスイッチYAGレーザー
QスイッチYAGレーザーは、シミ治療でスタンダードなレーザー治療です。2つの波長(532nm、1064nm)を使い分け、シミ・そばかすなどの肌トラブルにアプローチします。
皮膚の深い層にあるメラニン色素が関係する、濃いシミやアザには1064nmの波長を、皮膚の浅い層に存在するメラニンが作用する、そばかすや肝斑には532nmの波長を使うことで幅広い症状に対処できます。
QスイッチYAGレーザーは短時間で高いエネルギー照射し、シミ・そばかすなどの原因となるメラニン色素を破壊するため、一度で大きな効果を得ることが可能です。
QスイッチYAGレーザーについては「医療ハイフ(HIFU)の効果はすごい!」の関連記事も参照してください。
エレクトロポレーション
エレクトロポレーションとは電気穿孔法とも呼ばれ、電気パルスにより皮膚に極小の孔(あな)を開け、美容成分を肌の奥にまで浸透させる治療です。シミやニキビ、毛穴の開きが気になる人におすすめです。
通常は肌のバリア機能によって美容成分が浸透しにくい状態ですが、一時的に隙間を作ることによって直接的に大量の美容成分が浸透できるようにします。
エレクトロポレーションにより成長因子やヒアルロン酸などの高分子(大きな分子)を肌の深部にまで浸透させることができ、痛みもありません。
エレクトロポレーションについて詳しくは「ケアシスS(エレクトロポレーション)の効果とは?」の記事をご覧ください。
美容点滴(白玉点滴)
白玉点滴とは、美白成分である「グルタチオン」を高濃度でダイレクトに中注する施術です。グルタチオンにはメラニンの生成を抑える作用や、すでにあるメラニンを減らす作用があり、シミ・くすみの改善に役立ちます。
アメリカの歌姫ビヨンセが色白になったのも白玉点滴によるものであるとされ、別名「ビヨンセ点滴」とも呼ばれ、海外セレブの間でも人気になりました。
美容点滴の効果については「白玉点滴の効果は要チェック!」も参考にしてください。
まとめ
フォトフェイシャルでシミが濃くなるといわれる理由について説明してきましたが、いかがでしたか。
フォトフェイシャルを施すと隠れていたシミが表面化し、シミが濃くなったと感じることがありますが、一時的なものであり、やがてターンオーバーにより薄くなります。
また、肝斑にフォトフェイシャルの光を照射すると悪化することがあるため、施術前に見極めが必要となります。
これらを理解してもらえれば安心してフォトフェイシャルの治療(IPL光治療)を受けられるでしょう。その他にも不安なことがあれば、お気軽にご相談ください。